経営事項審査のX2(自己資本額・平均利益額)対策:評点アップで受注拡大

経審対策:X2(自己資本額と平均利益額)を解説
こんにちは。大阪府茨木市のアルバトロス行政書士事務所です。
今回は、建設業の経営事項審査(経審)において、多くの事業者が頭を悩ませるX2(自己資本額および平均利益額)の評点アップについて、具体的な対策を解説します。
経審の評点アップは、受注機会の拡大に直結する重要な課題です。
特にX2は、財務状況を直接的に反映するため、計画的な対策が不可欠となります。
X2(自己資本額および平均利益額)とは何か?
まず、X2の評価項目について正しく理解しましょう。
X2は、以下の2つの要素から構成されます。
- 自己資本額:直前決算における貸借対照表の純資産の部で示される「純資産合計額」のことです。企業の安定性、財務体質の健全性を示す指標となります。
- 平均利益額:直前3期分の当期純利益(または経常利益)の平均額です。企業の収益性、事業活動の効率性を示す指標となります。
この2つの要素を総合的に評価し、企業の財務健全性と収益力を判断するのがX2の目的です。
評点を上げるためには、この両方を向上させる必要があります。
自己資本額を向上させる対策
自己資本額を増やすためには、次の2つのアプローチが考えられます。
1. 利益を積み上げて資本を増やす
最も王道かつ健全な方法です。
当期純利益を増加させ、これを社内に留保することで、自己資本は自然と増加します。
短期的な対策としては難しいですが、長期的な視点での経営努力が不可欠です。
- コスト削減: 無駄な経費を見直し、事業活動における費用対効果を最大化します。
- 売上向上: 新規顧客開拓や既存顧客との関係強化により、売上を増やします。
- 利益率の高い案件の獲得: 付加価値の高い工事や、自社の強みを活かせる案件に積極的に取り組みます。
2. 外部からの資本増強
事業活動による利益の積み上げ以外に、直接的に資本を増やす方法です。
- 増資: 新株を発行し、株主から出資を募ります。株主構成や持ち株比率に影響するため、慎重な検討が必要です。
- 資本準備金・利益準備金の増加: 株主総会の決議により、剰余金を資本金や準備金に振り替えることができます。
- 社長や役員からの借入金の資本金化: 会社への貸付金がある場合、これを債務免除の形で資本金に振り替えることで、自己資本を増やすことが可能です。ただし、税務上の問題や、利息の扱いなど、専門家への相談が必須となります。
注意点: 簿外債務や未払いの経費がないか、決算内容を正確に把握することが重要です。粉飾決算は論外であり、後の調査で発覚すれば、重大な問題に発展します。
平均利益額を向上させる対策
平均利益額は、過去3期の当期純利益(または経常利益)の平均値であるため、単年度の努力だけでは大きく改善しません。
計画的な経営戦略が重要となります。
1. 経常的な利益の創出
当期純利益を安定して計上することが最も重要です。
- 原価管理の徹底: 工事ごとの原価を厳密に管理し、予算超過を防ぎます。
- 人件費の最適化: 労働生産性を向上させ、人件費の無駄をなくします。
- 不良債権の早期処理: 貸倒引当金を適切に計上し、貸倒損失を最小限に抑えます。
2. 特別利益・損失の適切な管理
経常的な利益だけでなく、特別損益も経審の評価に影響を与えます。
- 特別利益の計上: 資産売却益など、一時的な利益をうまく計上することで、平均利益額を押し上げることが可能です。ただし、経常的な利益とは異なるため、その影響を正しく理解しておく必要があります。
- 特別損失の計上: 不動産の売却損や災害損失など、一時的な損失は平均利益額を大きく引き下げます。損失が発生する可能性がある場合は、経審のタイミングを考慮した上で、決算期を調整することも戦略の一つとなります。
経審対策における具体的なアクションプラン
これらの対策を講じるためには、具体的な行動計画が必要です。
行政書士と連携して、以下のステップで進めることをお勧めします。
- 現状分析と目標設定: まず、過去3期分の決算書を分析し、自社のX2評価がどの程度か把握します。目標となる評点を設定し(点数が高ければいいとは限りません)、それに応じた具体的な改善額を算出します。
- 決算期を考慮した計画立案: 経審申請のタイミングから逆算し、決算期までに何をすべきかを計画します。特に、増資や資産売却などの大きなアクションは、決算日までに完了させる必要があります。
- 継続的な改善サイクルの確立: 一度きりの対策ではなく、継続的に財務状況を改善する仕組みを構築します。月次決算の導入や、原価管理システムの活用などが有効です。
行政書士としてのサポートと注意点
行政書士は、単に申請書類を作成するだけでなく、お客様の財務状況を正確に把握し、経審の評点を最大化するための具体的なアドバイスを行います。
- 決算書の確認: 税理士と連携し、決算書の内容に経審で不利になる項目がないか確認します。
- シミュレーションの実施: 対策を講じた場合、経審の評点がどれだけ向上するかを事前にシミュレーションし、費用対効果を判断します。
経審は、建設業者が公共工事を受注する上で避けて通れない道です。
特にX2の評点アップは、企業の体質改善そのものと言えます。計画的な対策を講じることで、皆様の事業の更なる発展に貢献できることを願っています。
ご不明な点や、より詳細なご相談がありましたら、いつでもお気軽にお声がけください。
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