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Toggle建設業許可の経営事項審査、まるっと解説!~これであなたも経審マスター~
「経営事項審査(経審)」って言葉、聞いたことありますか?
もしかしたら、もう何度も経験済みの方もいらっしゃるかもしれませんね。
「なんか難しそう…」「書類がいっぱい…」「毎年やらなきゃいけないの?」なんて、ちょっと身構えちゃう方もいるかもしれません。
でも大丈夫!この経審、実は建設業を続けていく上でとっても大切な、いわば「健康診断」みたいなものなんです。
今回は、この経営事項審査について、その目的から申請の流れ、評価される項目、そして知っておくと得するポイントまで、まるっと徹底的に、そして親しみやすい言葉で解説していきます。
これを読めば、あなたもきっと「経審マスター」に一歩近づけるはず!
さあ、一緒に経審の世界を覗いてみましょう!
第1章:そもそも経営事項審査って何?~なぜ必要?~
まずは、経審の「キホン」から見ていきましょう。
1-1. 経審の正体、それは「通知表」!
経営事項審査とは、簡単に言うと、「建設業者が公共工事を請け負う際に、その会社がどれくらいの経営力や施工能力を持っているかを客観的に評価する制度」です。
国や地方公共団体が発注する公共工事の入札に参加するためには、この経審を受けて、その結果通知書(通知表みたいなものですね!)をもらうことが義務付けられています。
国や自治体が税金を使って発注する公共工事は、道路や学校、病院など、私たちの生活に欠かせないものばかりです。
そこで、経審という仕組みを使って、会社の財産状況は健全か、これまでどんな工事を経験してきたか、技術者はどれくらいいるか…といったことを「点数」にして可視化するんです。
これにより、発注機関は安心して、より信頼できる業者に工事を任せられるようになる、というわけです。
1-2. 公共工事だけじゃない?経審の意外なメリット
「うちは公共工事はやらないから関係ないや!」と思った方、ちょっと待ってください!
確かに公共工事の入札参加には必須ですが、経審を受けることには他にもメリットがあるんです。
会社の「見える化」に役立つ: 経審の準備を進める中で、自社の財務状況や技術者体制などを改めて確認することになります。これは、会社の強みや弱みを把握する良い機会にもなりますよ。 金融機関からの評価アップ: 経審結果は、会社の客観的な評価として、金融機関からの融資を受ける際にも参考にされることがあります。 取引先へのアピール材料に: 「うちはきちんと経審を受けてますよ!」ということは、信頼できる会社であることの証にもなります。民間工事の取引先に対しても、安心感を与えることができるでしょう。
このように、経審は単なる義務ではなく、会社の「健康状態」を把握し、さらに良くしていくためのツールとしても活用できるんです。
第2章:経審の流れをざっくり把握!~どこから手をつければいいの?~
では次に、経審ってどんな流れで進んでいくのか、ざっくりと見ていきましょう。
初めての方でもイメージしやすいように、ステップごとに解説しますね。
2-1. ステップ1:建設業許可の取得、そして決算変更届!
まず大前提として、経審を受けるためには建設業許可を持っていることが必要です。
まだ許可を取っていない方は、まずそちらからですね。
そして、建設業許可を取得している会社は、毎事業年度終了後、必ず「決算変更届(事業年度終了届)」を提出する義務があります。
経審はこの決算変更届の情報をもとに行われるので、この提出が遅れると経審も受けられなくなってしまいます。
決算が終わったらすぐに、税務申告と一緒に準備を進めるのがスムーズです。
2-2. ステップ2:いざ、申請書類作成!~ここが一番の山場かも?~
決算変更届が済んだら、いよいよ経審の申請書類作成に取り掛かります。
ここが一番の山場かもしれませんね。たくさんの書類を準備し、必要事項を記入していきます。
主な書類としては、
経営状況分析申請書: 会社の財務状況に関する書類です。貸借対照表や損益計算書といった、いわゆる「決算書」の内容を細かく記載していきます。これは通常、登録経営状況分析機関という専門機関に申請して評価してもらいます。 経営規模等評価申請書・総合評定値請求書: 会社の経営規模(売上高など)、技術者の数、営業年数、社会貢献度など、様々な項目を自己評価して申請します。 添付書類: 決算書、納税証明書、技術者資格証のコピー、雇用保険や社会保険の加入状況がわかる書類、工事実績を証明する契約書や注文書など、多岐にわたります。
「うわぁ、たくさんある…」と思うかもしれませんが、一つ一つ、必要な情報を集めて埋めていけば大丈夫です。
分からなければ、行政書士などの専門家に相談するのも一つの手ですよ。
2-3. ステップ3:窓口へGO!申請手続き
書類が完璧に揃ったら、いよいよ申請です。通常は、建設業許可を受けている都道府県の窓口(土木事務所など)に提出します。
提出前に、書類に不備がないか最終チェックを怠らないようにしましょう。
せっかく準備したのに、ちょっとしたミスで受け付けてもらえない…なんてことになったら悲しいですからね。
2-4. ステップ4:結果通知書を受け取る!
申請が受理されると、審査が行われます。
審査期間は都道府県によって多少異なりますが、数週間から1ヶ月程度かかることが多いです。
そして、無事に審査が終わると、「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」が送られてきます。
これが、あなたの会社の「通知表」です!
この通知書に記載されている「総合評定値(P点)」が、公共工事の入札参加資格審査で使われる点数になります。
これで、経審の一連の流れは完了です。
第3章:経審で評価される項目を深掘り!
~どこを伸ばせば点数アップ?~
さて、ここからは経審で具体的にどんな項目が評価され、点数に影響するのかを詳しく見ていきましょう。
点数アップのヒントも隠されていますよ!
経審は大きく分けて、以下の6つの要素で評価されます。それぞれの頭文字をとって「X1」「X2」…と呼ばれたりもします。
・経営状況(Y点) ・経営規模(X1点) ・技術力(Z点) ・その他(W点) ・社会性等(W点の一部) ・工事種類別完成工事高(X2点)
ちょっと専門的な言葉が出てきましたが、ご安心を!一つずつ丁寧に解説していきます。
3-1. 会社の健康状態を測る「経営状況(Y点)」
これは、主に会社の財務状況、つまり「お金の面」が健全かどうかを評価する項目です。
先ほども触れたように、登録経営状況分析機関が審査を行います。
具体的には、
・自己資本額: 会社の資本金や利益剰余金など、返済不要な自分のお金がどれくらいあるか。多ければ多いほど安定していると見なされます。 ・経常利益: 本業でどれくらい利益を上げているか。 ・負債状況: 借金はどれくらいあるか、返済能力はあるか。 ・キャッシュフロー: お金の出入りはスムーズか。
などが評価されます。
Y点は、点数を上げるのが比較的難しい項目と言われますが、日頃から健全な経営を心がけ、利益をしっかり確保し、無理な借入を避けることが重要です。
3-2. 会社の体力を測る「経営規模(X1点)」
これは、主に完成工事高(売上高)と自己資本額で評価されます。
会社の規模が大きいほど、体力があると見なされ、点数が高くなります。
完成工事高: 過去2年間(または3年間)の完成工事高の平均額で評価されます。当然、売上が多ければ多いほど高評価です。 自己資本額: ここでも自己資本額が登場します。自己資本が厚いほど、財務基盤がしっかりしていると判断されます。
X1点を伸ばすには、やはり安定して工事を受注し、売上を伸ばしていくことが重要になります。
3-3. 会社の技術力を測る「技術力(Z点)」
建設業において最も大切な要素の一つ、それが技術力です。この項目では、
技術職員数: 会社に在籍している技術者の人数と、彼らが持っている資格(1級建築士、1級施工管理技士など)のレベルが評価されます。有資格者が多いほど、そしてより高度な資格を持っているほど高評価です。 元請完成工事高: 自社が直接請け負った工事の売上高です。下請け工事だけでなく、元請けとして多くの工事をこなしていると、より技術力があると評価されます。
Z点を上げるには、積極的に資格取得を支援したり、優秀な技術者を採用したりすることが有効です。
また、元請けとしての実績を積み重ねることも重要になります。
3-4. 会社のその他を測る「その他(W点)」
W点には、会社の様々な側面が評価されます。
これらを「社会性等」とも呼びます。
建設業の継続性: 営業年数が長いほど高評価です。長年の実績は信頼の証ですからね。 社会貢献度: ISO認証の取得状況、災害時における協定締結の有無、ボランティア活動への参加などが評価されます。地域社会への貢献度が高いほど点数が高くなります。 法令遵守: 建設業法や労働関係法令などを遵守しているか。これはマイナス評価につながる可能性もあるので、細心の注意が必要です。 ワークライフバランス: 従業員の働きやすい環境づくりへの取り組み(育児休業取得実績など)も評価されるようになってきています。 研究開発: 新しい技術や工法の研究開発に取り組んでいるかどうかも評価対象となります。
W点は、会社の「人間力」や「社会への貢献度」を測る項目と言えるかもしれません。
日々の企業活動の中で、これらを意識していくことで点数アップにつながります。
3-5. 工事の種類別実績を測る「工事種類別完成工事高(X2点)」
これは、申請する建設業の種類(土木一式工事、建築一式工事、舗装工事など)ごとに、過去の完成工事高を評価する項目です。
例えば、土木一式工事の経審を受けるなら、過去の土木一式工事の完成工事高が評価されます。
特定の工事種類で実績を積んでいると、その分野での専門性や経験が豊富であると評価され、点数に加算されます。
第4章:経審で点数を上げる秘訣!~今からできること~
ここまでで、経審の評価項目が分かってきましたね。
では、具体的にどうすれば点数を上げることができるのでしょうか?いくつかの秘訣をご紹介します。
4-1. まずは「現状把握」から!
いきなりあれこれ手を出すのではなく、まずは現状の自社の経審結果を把握することから始めましょう。
過去の経審結果通知書をチェック!: どの項目が弱くて、どの項目が強いのかを確認します。 目標設定!: 何点くらいまで上げたいのか、具体的に目標を設定しましょう。それによって、どの項目を重点的に強化すべきかが見えてきます。
4-2. 経審対策、これに注力しよう!
4-2-1. 財務体質を強化する!
自己資本を増やす: 利益を積み増す、増資を行うなどが有効です。 負債を減らす: 無理な借入は避け、既存の借入は計画的に返済しましょう。 キャッシュフローを改善する: 売掛金の回収を早める、仕入れの支払いを工夫するなど、資金繰りをスムーズにすることで、Y点の改善につながります。
4-2-2. 技術者の育成・確保!
資格取得の支援: 従業員が資格を取得するための費用補助や研修機会を提供しましょう。特に1級施工管理技士などの上位資格は点数への影響が大きいです。 優秀な技術者の採用: 即戦力となる有資格者を採用することも有効です。 継続的な教育: 技術力の維持・向上に向けた研修や勉強会を定期的に開催しましょう。
4-2-3. 売上アップと元請け比率の向上!
安定した受注活動: 計画的に工事を受注し、完成工事高を安定的に増やしていくことが、X1点、X2点の向上につながります。 元請け工事の獲得: 下請けだけでなく、自社で元請けとして工事を完遂する実績を増やすことで、技術力(Z点)も評価されます。
4-2-4. 社会貢献活動への積極的な参加!
ISO認証の取得: 品質マネジメントシステム(ISO9001)や環境マネジメントシステム(ISO14001)などの認証は、社会性(W点)の評価を高めます。 地域貢献活動: 地域の清掃活動やボランティア、災害時の復旧協力など、積極的に地域社会に貢献する姿勢を示すことで評価につながります。 労働環境の整備: 従業員が長く安心して働けるような職場環境を整備することも、W点の一部の評価対象となります。
4-3. 経審は「毎年」意識することが大切!
経審は、一度受けたら終わり、ではありません。
そのため、「決算が終わったらすぐに経審の準備を始める」というサイクルを確立することが重要です。
日頃から、
工事実績の記録: どんな工事を、いつ、いくらで請け負ったのか、契約書や注文書など、証明できる書類をきちんと保管しておく。 技術者情報の更新: 新しく資格を取得した従業員がいれば、すぐに情報を更新しておく。 社会保険等の加入状況の確認: 法令遵守は常にチェックを怠らない。
といったことを意識しておくことで、いざ経審の準備になった時に慌てずに済みます。
第5章:経審で困ったらどうする?~専門家の活用も視野に~
「やっぱり書類作成が大変そう…」「うちの会社だと、どこを改善すれば点数が上がるのか分からない…」
そんな時は、一人で抱え込まずに、ぜひ専門家の力を借りることを検討してみてください。
5-1. 行政書士に相談する
建設業許可の申請はもちろん、経審の申請書類作成や提出代行は、行政書士の得意分野です。
書類作成のプロ: 複雑な経審の申請書類を、漏れなく正確に作成してくれます。 効率的なアドバイス: 会社の状況に合わせて、どの項目を強化すれば点数が上がるかなど、具体的なアドバイスをしてくれることもあります。 時間の節約: 慣れない書類作成に時間を取られることなく、本業に専念できます。
費用はかかりますが、その分、スムーズかつ確実に経審を乗り切ることができ、結果的にトータルでのメリットが大きい場合もあります。
当事務所も建設業許可申請を専門にしており、経営事項審査のお問い合わせも多数いただいております。
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最終章:経審は会社の未来を拓くパスポート!
ここまで、経営事項審査についてみっちりと解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
最初は「面倒くさいもの」「義務だから仕方なくやるもの」と感じていたかもしれません。
しかし、経審は単なる手続きではなく、自社の経営状況や強み、弱みを客観的に把握し、未来に向けた改善点を見つけるための、非常に有効なツールなんです。
経審の点数が高まるということは、それだけ会社としての「体力」や「技術力」、「信頼性」が高いということ。それは、より大きな公共工事の受注チャンスにつながったり、金融機関からの評価が高まったり、ひいては優秀な人材の確保にもつながるかもしれません。
まるで、あなたの会社が「公共工事という大海原へ旅立つためのパスポート」のようなものですね!
ぜひ、この経営事項審査をポジティブに捉え、ご自身の会社の成長と発展のために役立ててみてください。
もし、この記事を読んで「よし、頑張ろう!」と思ってくださった方がいらっしゃれば、私としてはこれ以上嬉しいことはありません。
さあ、自信を持って、これからの建設業を盛り上げていきましょう!
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